■「東京城南居酒屋探偵団」団長でホッピー原理主義者の「居酒屋探偵DAITEN」が東京・川崎・横浜の居酒屋を探訪。過去に探偵した居酒屋の【地域別一覧表】が便利。「DAITENのがっかり録」では愚痴話。小説も公開。さらに、公演情報など演劇に関する様々な情報も紹介。
居酒屋探偵DAITENの生活
溝の口 串焼き「いろは」
2008-05-17-Sat  CATEGORY: 居酒屋探偵DAITENの生活
居酒屋探偵DAITENの生活 VOL.101   2008年5月17日(土)    【地域別一覧表へ】


溝の口 串焼き「いろは」

溝の口 串焼き「いろは」

 前回の第100回に引き続き、思い出を胸に溝の口の街を歩く小さな旅である。前回入ったやきとり「ゆたか」を出て、すぐ目の前にあった道に入る。居酒屋「十字屋」の前を通り、「溝の口駅西口商店街」の中心に出た。左手の東急田園都市線溝の口駅方面には、やきとり「かとりや」がある。右手の角の八百屋さんの向こう側に、串焼き「いろは」を見つけた。「いろは」と八百屋さんの間には明確な仕切りはない。
 すでに、立ち呑む為の台は一杯であった。焼き台の近くの男性に対して指を一本立て、一人であることを示すと、近くの台の隣に折りたたみ式のテーブルを出してくれた。
 まずは「ホッピーセット」をお願いする。ホッピーセットは470円である。ここのホッピーのセット焼酎は、ドリンク剤の瓶に「燃える男の酒焼酎・串焼きいろは」と書かれたものに入って出てくる。この焼酎瓶に対して、ホッピー瓶(260円)やレモンソーダ瓶(260円)を追加するのである。瓶は冷やされていないので氷を入れてもらうしかない。氷を2個だけ入れてもらい、箸で混ぜるとすぐに溶けてしまった。

 焼き物はつくね(80円)、とりかわ(80円)、こぶくろ(80円)を一本ずつである。やきとり「ゆたか」では食べなかった焼き物を選んだのである。肉は値段に見あって小ぶりであるが、酒のつまみにはちょうど良い。

 この串焼き「いろは」や、やきとり「かとりや」のある溝の口駅西口商店街」は、八百屋さんが今も残っているように、元々は主婦が晩の食材を購入するような商店街でもあった。ところが、2007年2月4日の午前4時半頃に起きた不審火による火災の為、鮮魚店、飲食店、洋服店など計7店の店が全焼してしまった。焼け跡はまだ再建されてはおらず、立ち退きが要求されているらしい。

 串焼き「いろは」やきとり「かとりや」等がある側は難を免れたが、最近になって、「七輪もつ焼き二の鉄」「本場博多天神もつなべ・きむら屋」等の新しい店舗が進出。また、焼け跡に隣接する場所にはマンションが建ち、その中にチェーン居酒屋の支店が入って、街全体が新しい飲み屋街に変貌しつつある。戦後闇市的な場所がまた消えてゆくのだろうか。

 しばらくして、お隣に上品な感じの年輩の方が来られた。ちょうど、亡くなった父が生きていれば近い年格好であろうか。どちらからともなく話し始めた。その方はあちらこちらの立ち呑みの店を飲み歩いているという。座る店の場合、地域の皆さんの世界に入りにくい、立ち呑みだと、そこに入り込み易いのだそうである。まったく同感である。
 常連の多い小さな店では、常連さんの座る席まで決まっていたりする。立ち呑みの場合は、もし常連さんの立つ場所が決まっていたとしても、立ち位置を少し変えるだけで対応できるのが良い。

 2杯目は、「燃える男の酒焼酎」が半分残っているので、レモンソーダ(260円)だけを頼み、ポテトサラダ(200円)を追加した。
 すると、「今日はポテトサラダ無いんですよ、マカロニサラダでもいいですか?」と言われる。断る理由も無い。マカロニサラダ(200円)をお願いした。

 父と暮らした頃の面影を訪ね歩いたその夜に、たとえ短い一時とはいえ、父と同年輩の方と酒を呑むことが出来たのである。様々な場所の酒場についてお話をした。しかし、家では母が待っている。「それではお先に失礼します」と申し上げると、「また、どこかの酒場で会いましょう」と答えてくださった。心和む一時であった。
 約40分ほどの滞在。お勘定は1,170円であった。

いろはホッピー写真

溝の口 串焼き「いろは」
住所 神奈川県川崎市高津区溝口2-4-3
電話 044-811-4881
交通 東急田園都市線溝の口駅徒歩1分



ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

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溝の口 やきとり「ゆたか」 
2008-05-17-Sat  CATEGORY: 居酒屋探偵DAITENの生活
居酒屋探偵DAITENの生活 VOL.100   2008年5月17日(土)    【地域別一覧表へ】


溝の口 やきとり「ゆたか」

溝の口ゆたか

 今回は「居酒屋探偵DAITENの生活」の記念すべき【第100回】である。そして、掲載店も113店になった。自然と過去を振り返る気持ちになってくる。
 ここ数年、自分自身のルーツを探す小さな旅を時々する。以前、JR川崎駅西口の駅前、自分が生まれた場所を訪ねると、そこはミューザ川崎という高層ビルの脇にあるエスカレーター前になっていた。その時のことは【第10回・生まれ故郷にうまい店「味よし」】に書いた。

 私が十二歳の頃、父がガンで亡くなるまでのわずか1年、家族3人で住んだ家に行ってみることにした。実は、一週間ほど前にSAKURAと二人でその家を探しに行った。しかし、撮影したビデオの映像を母に見せると、場所が違うと指摘されてしまった。そこで母と共にお互いの記憶をたどり、地図を見ながら正しい場所を特定した。故に今回は二度目の挑戦ということになる。

 その家の場所は溝の口駅からバスでかなり奥に入り、さらに歩いた丘の上の住宅街である。今回はその場所をすぐに見つけることが出来た。ガンを患った身体で、周囲の忠告も聞かず、父が独りで作ったブロック塀が当時のままそこに残っていた。あれから37年の時が過ぎた。様々な思いがこみ上げてくる。家の裏の2棟の社宅もそのままで、庭には、子供が遊ぶ為のトンネルのあるコンクリート製の山も残っていた。しかし、フェンスで囲まれ、近づくことが出来ないようになっていた。何かあったのかもしれない。
 さらに、卒業した小学校まで歩いてみた。校舎も体育館もそのままの姿で残っていた。父の看病の為、母も不在だった卒業式も、当時出来たばかりのこの体育館で行われた。
 色々な思い出が蘇ってくる。たまらず、小学校の近くの街道沿いにある回転寿司店で一人ビールを呑み、心の中で亡父と乾杯をした。
 
 帰りもまたバスで溝の口駅に戻った。溝の口駅は私が子供の頃とは、ずいぶんと変わってしまっていた。駅前にファッションビルが建ち、田園都市線とJR南武線の二つの駅は、ちょうど二階の高さに作られた広い空中広場で結ばれていた。
 それから昔の面影を探して街を彷徨うことになった。前回訪ねた「かとりや」のある西口商店街には行かず、東口側を歩いた。古い飲み屋街を探して歩いてみたが、みつけることが出来なかった。それでも、「古い飲み屋を探すなら、用水やどぶ川の周辺を探せ」という自分なりの規範に従い、どぶ川に蓋をして暗渠になっている場所を見つけた。さらに、ちいさな用水路に出る。それは、美しく整備された「二ヶ領用水」であった。その用水沿いを歩く。やがて小さな街道に出て、そこを左に曲がった。自分が溝の口駅に対してどちら側にいるのか解らなくなっていた。五十がらみの迷子である。その街道をすすむ。やがて、「栄橋」という六差路の交差点に出た。

 栄橋の交差点の一角に「やきとり ゆたか」という看板と赤ちょうちんを発見した。砂漠でオアシスを見つけた気持ちである。自転車に乗った男性が店の前で降り、何の躊躇いもなく中に入って行く。常連の方に違いない。私も少しだけ間をおいて中に入った。
 店は三角地に建てられている。Lの字の縦線の上部がもう一回右斜めに少し折れた形を想像していただきたい。そんな変則的L字カウンターに15人程が座れるようになっている。カウンター中央に面した焼き台の前で、優しそうな雰囲気の女将さんが焼き物を焼いていた。

 飲み物はレモンサワー(350円)に決めた。焼き物は、たん(100円)、はつ(100円)、かしら(100円)をお願いする。本数を言わないでいると、「一本づつですか?」と聞いてくれた。この店に「2本縛り」が無いことが解る。
 先客は先ほどの男性、それから左手奥にもう一人男性客がいるだけであつた。壁に日曜祝日休という文字を発見する。土曜日に訪ねてきたのは幸運であった。土曜の夕暮れ時の酒場ほど心おちつく場所はない。
 女将さんを中心に常連の皆さんの話が弾んでいた。私はただ黙っている。探偵は観察を続けるのである。2杯目は千代菊にごり酒(380円)を頼んだ。これがなかなかにうまかった。めざし(250円)も追加する。4匹のめざしが小皿に載ってくる。めざしは最高の酒の相手である。
 やがて、女性客が一人やってきた。女性客は様々な噂話を始めた。色々な人の名前が出てくる。他の常連客も負けず劣らず話し続ける。気が付けば、私を含め7人のお客さんに増えていた。
 緑茶割り(350円)と、あつ揚げ(170円)を最後にお願いした。
本当に地元の皆さんの店である。人生の縮図を見せていただいた気がする。たっぷり楽しませていただいた。約40分で酒3杯、いささかペースが速い。お勘定をお願いすると1,700円であった。

 目の前の栄橋交差点に立ち、道を渡った向こう側に路地を見つけた。左に曲がっている。なんとなく記憶が残っている。しばらく歩くと、以前に来たことのある居酒屋「十字屋」の前に出た。このまま進めば、やきとり「かとりや」串焼き「いろは」がある西口商店街である。知らぬ間に駅に近い場所に戻ってきていたのである。偶然に見つけた「ゆたか」という店は、やはり溝の口の優良店が集まる場所にあったのである。
 
補足 やきとり「ゆたか」への一番近い行き方は次の通りである。東急田園都市線溝の口駅中央改札口を出て右へ進み、階段を下りると線路沿いに西口商店街がある。そこをまっすぐ進み、やきとり「かとりや」の前を過ぎて、串焼き「いろは」の手前のY字路を右へ。右にややカーブする道を行くと、右手に、居酒屋「十字屋」があり、その前を過ぎて広い通りに出ると、すぐ目の前に「ゆたか」の看板が見える。隣は漢方薬局である。


溝の口 やきとり「ゆたか」
住所 神奈川県 川崎市高津区溝口2丁目5-7
電話 044-822-2219
定休 日曜祝日 営業時間17:00〜;22:00
交通 東急田園都市線溝ノ口駅徒歩3分


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ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

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